「鬼滅の刃」ヒットの裏側

アニメ映画『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』が日本の興行収入記録を塗り替えた。

興行収入は興収370億円を超え、宮崎駿監督の「千と千尋の神隠し」を抜いて首位に立った。

コロナ禍でエンタメ業界が軒並み苦戦するのでより、鬼滅の刃の大ヒットが、際立っている。

成功の秘訣、ヒットの秘密は何なのか？

2016年に「週刊少年ジャンプ」で連載開始した「鬼滅の刃」は、大正時代の日本を舞台に、最愛の妹まで鬼になってしまった少年「竈門炭治郎（かまど たんじろう）が「鬼殺隊」に入隊し家族を殺した鬼と戦う姿を描く。

累計発行部数1億部を超える大ヒット漫画となっている。シリーズの締めくくりとなる第23巻は、2020年12月4日に発売され、週間で300万部近くを売上げ「コミック週間売上歴代1位」を記録した。

経済波及効果は２０００億円を超えるとまで言われている。

鬼滅の刃の主なテーマは、「友情・努力・勝利」というジャンプの王道ストーリーである。

その上、緻密なバックストーリーや個性的なキャラクターが登場し、物語も善VS悪という図式ではなく、鬼たちにも人間たちにも持つような感情があるというのを丁寧に描いているのも人気の理由の一つだろうが、ここまでヒットした理由は何なのか。

●鬼滅の刃のビジネスモデルとは一体？

鬼滅の刃の映画がヒットした理由の一つは、「コロナ禍だった」ことをひとつ挙げる事もできる。2020年4月に非常事態宣言が発表されるとステイホームの号令の元、みんなが家に閉じこもった。

その間にAmazonPrimeなどで配信されていたので、皆が自由に見れたのもセンセーションを起こすきっかけになった。

そして10月、ちょうど政府が映画館の動員者数の制限を解除したタイミングで、この映画が公開されたのだ。

すると瞬く間に全国の劇場で人気が火がつき、大反響を呼んだ。興行的にも同時期、ハリウッドスタジオの対策がリリースを遅らせたという事実にも助けられた。

結果、2020年の総興行収入の約4分の1を占めた。

話題になるとファンだけでなく、ビジネスマンまでも押し寄せるようになった。

●鬼滅の刃コラボ旅行

また、海外旅行の規制で低迷していた旅行業界にとっても追い風が吹いた。

国内では、シリーズの舞台となった場所にファンが続々と押し寄せている。福岡県の溝口竈門神社(みぞくちかまどじんじゃ)は、シリーズの主人公・竈門炭治郎（かまどたんじろう）と名前が似ていたり、神社の鳥居の神額が、禰豆子が入ってる木箱にそっくりということで、意外な観光スポットになっているようだ。

海外から日本には来れないものの、台湾での興行収入記録を更新し、韓国では前売り券がバカ売れするなど国際的ヒットにまでなっている。

海外のインスタグラマーがコスプレを上げるなど反応は上々だ。

●ソニーとの関係

映画がテレビ局の配給でないという事も話題となった。

ソニーがアニメ化から映画、グッズ販売まで戦略的に関わっている。

ソニー・ミュージックのグループ会社「アニプレックス」が制作、主題歌「紅蓮華』を歌うLiSAもの歌うソニー・ミュージック所属なのでソニーの利益になっている。

フィギュアやDVDも合わせると莫大な利益となり「一番儲かっているのはソニー」とまで言われるのもうなずける。

鬼滅の刃ヒットの秘訣は時代の変化にピタッとはまった、ソニーの戦略勝ちとの見方もできる。