五感をとろけさせるチョコレート。
深い色合いに、かぐわしい艶。
口にちょっと含むだけで幸せにしてくれます。
人類って本当にチョコレートが好きで、1年間に世界で900万トンが食べられているそう。
うーん、もはやどれくらいかわかりません。
でも、あえて言います。
人類はチョコレートでできている。
おいしいだけじゃなく、人生も豊かにしてくれましね。
BEAN TO BAR(ビーン・トゥ・バー)
最近のチョコレートの世界の新潮流はビーン・トゥ・バーです。
その名の通り、ビーン(豆)からバー(板チョコ)という、ひとつの工房やチョコのブランドが、カカオ豆の加工からチョコレートに製造するまでを一貫して行うことを言います。
ビーン・トゥ・バーでは、カカオ豆の産地ごとの味や香の違いを楽しめます。
カカオ豆が育つのは、西アフリカ、中南米、東南アジアなど、赤道から南北緯度20度以内のカカオベルトと呼ばれている限られた条件でしか育たないのですが、産地によってその風味は個性は様々で、
例えばフルーティなのはベトナムやタンザニアだったり、
ちょっとアーモンドっぽい香りが強いのは、ハイチ、ニカラグア、エクアドルといった感じで分かれています。
ワインの「テロワール/TERROIR」という風土や土地の個性の違いを楽しむ文化や、
コーヒーの「シングル・オリジン/SINGLE ORIGINE」という一つの産地や生産者ごとに細かく分ける文化などに近いですね。
そして、たとえ同じ品種のカカオ豆でも、畑の土壌の菌の違いや天候、発酵環境でで、味も香りも大きく異なります。
これまではチョコについて語るときは、甘いか苦いか。ミルクかビターかくらいしかありませんでしたが、
今は、カカオ豆の持つ個性から産地や品種、発酵方法などの違いを楽しめるのです。
カカオ生産者には必ずその土地や人々の物語があります。
工房やチョコレートのブランドが一貫して携わることでカカオ生産者と消費者の橋渡しとなって、その物語を消費者へダイレクトに伝えることができるのです。
ビーン・トゥ・バーのチョコを食べ比べると、自分の好みを知る事ができるし、食べるほど奥深さがわかります。その日の気分や飲み物に合わせたり、チョコレートの持つ物語に自分の想いをのせてプレゼントしたりと、楽しいですね。
ビーン・トゥ・バーの起源
ヨーロッパの高級チョコレートとも、大手メーカーのチョコレートとも違うビーン・トゥ・バーは、2000年代にアメリカから世界へ広がりました。
大手メーカーの作るチョコレートは香料や植物性の油脂などを加えた甘いお菓子で、カカオ豆が本来持つ風味は失っています。その反動からか、個人などが小さな工房で原料のカカオ豆でチョコートを作り始めました。
メインの素材はカカオ豆と少量のシュガーのみで、チョコの包装紙も手作りの場合もあります。
ESG投資
ビーン・トゥ・バーはESG投資の観点からも注目を集めています。
ESG(環境・社会・ガバナンス)のEやSの部分です。
カカオの生産地は発展途上国が多く、安く買いたたかれたりすることが当たり前になっていることが問題とされています。
よくカカオ生産者とチョコレート消費者の経済格差は大きく、チョコレートを見たことがないというカカオ生産者の話を聞く事もあると思います。
ビーン・トゥ・バーでは、工房やチョコブランドは、仲介業者を介さずに、カカオ生産者から適正価格で購入します。さらにカカオ生産者は実際にどんな商品が売られているのかを知る事も、消費者の反応も聞く事もできます。だから、カカオ生産者は仕事に誇りを持つし、問題点などを共有することもでき、栽培技術の向上や共有につながるのです。
消費者の立場からも、カカオ生産者の生活が考慮され、地球環境にも配慮した方法で収穫されたカカオ豆を使っているチョコレートを選びたいですね。